原阿佐緒賞

原阿佐緒の文学的功績の顕彰を目的として、全国公募による「原阿佐緒賞」を毎年選定し、表彰しています。

第17回 原阿佐緒賞入賞作品

一般の部

原阿佐緒賞

鍬やめて鋤(すき)ぐわ買はむ「全壊」の庭の茅(ちがや)の白根掘るため

宮城県 煖エ 義仁

優秀賞

古(いにしえ)の因果のゆえに無花果は見せることなし花のすがたを

宮城県 早坂 葉子

もう二度と戦はするなと叫びたる凍土に眠る戦友の声

宮城県 仙石 玉祥

七ツ森雪を掻き分け疾駆する猪を追いつめ撃鉄を引く

宮城県 山口 詔夫

身の癒えて厨にたてるをよろこばむ水に戻しし椎茸匂ふ

宮城県 佐藤 三代

おゆうぎ会のこどもらは良し北風になりきる五さい棒立ちの一さい

福島県 松川 韶子

青少年の部(学校名は応募時)

優秀賞

収穫を忘れたキュウリ爆弾の破裂間近のように膨らむ

兵庫県立農業高等学校 清水 麻由

奨励賞

風が吹き流れる雲は穏やかでそれ見て思う平和はいいなと

宮城県黒川高等学校 藤枝 悟

中庭の池に金魚が泳いでる授業の声を楽しむように

宮城県黒川高等学校 阿部 恭也

プレゼント何がほしいと問う祖母にひそかに願うながいきしてね

山口県立岩国工業高等学校 小田 萌

オリオンを見つける前にプロペラの音が轟く沖縄の空

仙台白百合学園高等学校 藤澤 寧々

今年また金木犀の香(か)の中で変わりゆく心持つまま歩む

山口県立華陵高等学校 石田 美楠

セーターで指先隠す君の癖結構好きだよ言わないけれど

群馬県立高崎商業高等学校 石川 みなみ

後悔を妬みを弱さを醜さをココアに溶かし深く飲み干す

宮城学院中学校 熊谷 友紀子

モアイ像じっと一点見つめてる今日も静かなイースター島

山口県立岩国工業高等学校 松永 空

吠えもせず見つめるだけの愛犬は意見を言わぬ私に似ている

聖ウルスラ学院英智小・中学校 氏家 萌々菜

お父さんに毎日かかさず手紙書きいつの間にか1000通越えた

美濃加茂市立西中学校 岩井 ののか

特別賞

「あれよ、あれ」祖母のセリフは「あれ」多しおかげで話がわからぬ日々よ

宮城県仙台二華中学校 熊谷 帆風

あんなにも大嫌いだった制服が今となっては思い出ばかり

石巻市立桜坂高等学校 小野 智絵

真っ白な校庭の中ダッシュする子ども心はまだ忘れない

美濃加茂市立西中学校 佐古 有希

妹が可愛く着飾るひな祭り妹は笑えばみな笑顔なり

大和町立宮床中学校 大庭 一那

冬の朝つめたい耳に届くのはみそ汁つくる母の「おはよう」

秀光中等教育学校 小野 佑華

これまでの原阿佐緒賞受賞作品

第一回

障害の人らの仕上ぐる注連飾り 清やかに 藁の匂ひ立つなり

京都府 阪根 まさの

第二回

麻痺の手に 絵を描きゐし姉なりき 遺作の紅バラ 色褪せてきぬ

宮城県 大井 康江

第三回

車イスに 座りしままの母なれど 「北国の春」に リズムとりたり

宮城県 戒野 ゆき子

第四回

深き井戸の中のぞくがに見入りぬ病院ベットのわが初孫を

青森県 久米 新吉

第五回

卒寿すぎ逝きたる母の骨拾う苦労の欠けらに言葉かけつつ

宮城県 鈴木 蝶次

第六回

テロのイラク津波のインド洋も渡り来し月かと思ふ晧晧と光(て)る

宮城県 大宮 源一

第七回

二胡の音にかきみださるる思いあり弓にはげしく来る嫉妬心

宮城県 高橋 美枝子

第八回

母を抱き共に湯槽にひたりたり小さくなりし体ささえて

宮城県 木村 とみ子

第九回

船形はわかき山らしドキドキと脈打つように清水湧き出(い)ず

宮城県 畠山 みな子

第十回

秘密基地のごとくに門扉開かれて集団下校の児ら出でてくる

宮城県 大和 昭彦

第十一回

死ぬほどの恋ひとつありと言いおればかなた天より哄笑聞こゆ

宮城県 煖エ 美枝子

第十二回

亡き夫のパジャマで編みし布草履素足に履きてシーツ干しをり

千葉県 旭 千代

第十三回

ちぎりし如防潮堤の津波の跡曝れたるままに又雪が来る

宮城県 佐藤 三代

第十四回

つばくろのひなのごとくに我が母は我れのスプーンに口を開けをり

宮城県 尾形 八重子

第十五回

大波に果てし人らのたましひの薄日と遊ぶすすき穂の先

宮城県 北辺 史郎

第十六回

朝の日に等身大のわが影の映る豚舎のカーテンを上ぐ

福島県 島 悦子

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